「YES! YES!」
ストーンの行き先を見すえ、かけ声が響く。冷気が漂うスケート場は熱気に包まれていた。「氷上のチェス」と呼ばれ、冬季五輪で日本選手が大活躍する「カーリング」。観戦だけでなく、実際にプレーしてその奥深さに魅了される人が増えている。そんなカーリングをまちづくりにいかそうと、岩手県二戸(にのへ)市で取り組みが広がっている。
県北青少年の家(同市仁左平)で、「イーハトーブカーリングフェスティバル」(県北地域の関係者らでつくるカシオペアカーリング協会など主催)が3月11、12日に開かれた。
24回目の今年は17都道府県から30チーム約140人が出場した。レベルは初心者から国内トップクラスまで様々で、大学時代のメンバーが全国から集まり、再結成したチームもあった。
カーリングは髪の毛1本が落ちているだけでストーンがコースを外れたり、スピードが落ちたりする。会場は通常、スケート用で使っており、大会では協会のメンバーが荒れた表面を可能な限り整えた。
それでも専用施設ではないため、上手な選手でも思い通りにいかず、実力差はあまり開かなかった。
場内には地元の菓子メーカーが提供した色々な種類の南部せんべいが試食できる「もぐもぐブース」も登場。選手たちはプレーだけでなく、休憩中にはあの「もぐもぐタイム」の雰囲気や交流なども楽しんでいた。
二戸市は県内のカーリング発祥の地とされ、県の協会本部もある。市内では毎年12~3月、県北青少年の家のスケート場で誰でも体験できる初心者向けのスクールが開かれる。料金は無料(入場料が別途必要)で用具も貸してくれ、子どもから大人まで毎回にぎわっている。
今シーズンは計11回開かれ、小学2年生から40代までのべ164人がチャレンジした。隣接する青森県田子町や、同県八戸市からの参加もあった。毎回訪れて腕を磨き、試合で勝つまで上達した選手もいた。
もっとカーリングで二戸を盛り上げたい――。
北海道北見市常呂町は40年前から住民たちが活動を始め、今や世界的に有名な「カーリングの聖地」にまで発展。二戸でも取り組みが広がっている。
愛好家や関係者たちは、市内…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル